公開シンポジウム「シリアにおける邦人人質殺害事件を検証する ~ ジャーナリズムの立場から」※要事前申込
INFORMATION
本年1月、シリアにおいて過激武装組織「IS」※に拘束されていた邦人2名が殺害されるという事件が発生した。湯川遥菜氏は2014年8月に、後藤健二氏は同10月にそれぞれシリア国内で消息を絶ち行方不明となっていたが、2015年1月20日に、インターネット上で両名を人質として日本政府を脅迫する動画が公開され、国内はもとより世界的な注目を集める中での殺害事件に発展した。
日本政府は、同事件に際しての日本政府の対応について検証を行うとともに、国際テロ事案に関する在留邦人保護などの政府対応の在り方について検討するため、2月初旬、内閣官房副長官(事務)を委員長とする「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会」を設置した。
本学の長有紀枝?21世紀社会デザイン研究科教授が外部の有識者5名の一人としてこのプロセスに参画したが、もとより、本検証委員会は、政府の対応を検証するもので、事件の全容の解明やフリージャーナリストであった後藤氏のIS支配地域への入域の理由やその背景などを含めた議論を目的としたものではない。
本事件は不幸な形で決着を見たが、海外在留邦人や渡航者を狙った類似の事案は今後も発生が懸念され、そのターゲットは、ジャーナリスト、国際協力関係者、企業関係者にとどまらず、大学生や大学院生、研究者、一般の旅行者も想定される。
そこで本学関係者を含む一般市民に注意を喚起し、類似の事案の再発防止に寄与するとともに、5月下旬に公表予定の政府の検証委員会による検証報告を、市民、特にメディアの視点から補完する目的で本シンポジウムを開催する。(※なお、イスラム教への誤解が広がらないよう、「イスラム国」ではなく「IS」の呼称を用いている。)
パネリスト
アジアプレス?インターナショナル代表、早稲田大学政治経済学術院教授
野中 章弘 氏
1953年兵庫県生まれ。関西学院大学経済学部卒。87年、アジアプレス?インターナショナル設立、同代表。元立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授(2007年~2012年)。13年より、早稲田大学政治経済学術院教授。
80年代初頭より、インドシナ紛争、アフガン内戦、エチオピア飢餓、ビルマの少数民族のゲリラ闘争、チベット、東ティモール独立闘争、中国?朝鮮半島情勢、アフガン空爆、イラク戦争など、おもにアジアの社会問題を取材。03、04年度朝日新聞紙面審議会委員。第3回『放送人グランプリ特別賞』受賞。NHKを中心にニュース、ドキュメンタリーを200本以上制作。著書?編著に『ジャーナリズムの可能性』(2005年岩波書店)、『メディアが変えるアジア』(2001年岩波書店)、『ビデオ?ジャーナリスト入門』(1996年はる書房)、『アジアTV革命』(1993年三田出版会)、『沈黙と微笑—タイ?カンボジア国境から』(1981年創樹社)など。
NHK放送文化研究所?上級研究員
七沢 潔 氏
1957年静岡県生まれ。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして沖縄、原発、戦争、イスラム世界などをテーマにドキュメンタリー番組を制作。モンテカルロ国際テレビ映像祭特別賞、日本新聞協会賞(1992年)などを受賞。2004年からNHK放送文化研究所研究員。 2011年の福島第一原発事故後、ETV特集『ネットワークでつくる放射能汚染地図』を制作、日本ジャーナリスト会議大賞、石橋湛山記念?早稲田ジャーナリズム大賞、文化庁芸術祭テレビドキュメンタリー部門大賞、ドイツ世界映像祭銀賞、シカゴ国際映画祭銀賞などを受賞。著書に『東海村臨界事故への道ー払われなかった安全コスト』(2005年岩波書店)、『原発事故を問うーチェルノブイリから、もんじゅへ』(1996年岩波新書) 、『チェルノブイリ食糧汚染』(1988年講談社)。
フリージャーナリスト?21世紀社会デザイン研究科博士課程前期課程在籍中
白川 徹
1984年東京都生まれ。オーストラリア留学を経て、2006年からアフガニスタンを中心に取材を続ける。2008年には「対テロ戦争」を任務とするアフガニスタン東部の米軍基地のルポを行い、新聞、雑誌、テレビに寄稿した。
コメント
本学社会学部メディア社会学科准教授
砂川 浩慶
司会
本学21世紀社会デザイン研究科?社会学部教授
長 有紀枝
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21世紀社会デザイン研究科委員長室
(月~金 11:00~18:00)